- \item 2015年以前の\pTeX では,ボックス全体が \cs{ybaselineshift} だとシフトされるので,
- \autoref{tab:math_bsa}中の``い''のように,ボックス中の和文文字は
- \ \cs{ybaselineshift} だけシフトされ,一方,``for all''のように,
- ボックス内の欧文文字は2重にシフトされることになる.
- \item 一方,\LuaTeX-jaではそのようなことはおこらず,
- 数式中に明示的に現れた \cs{hbox},~\cs{vbox} はシフトしない.そのため,
- \autoref{tab:math_bsa}中の``い''も``for all''も,それぞれ本文中に
- 書かれたときと同じ上下位置に組まれる.
-
- なお,\TeX~Live~2016以降の\pTeX では改修がなされ,\LuaTeX-jaと
- 近い挙動になるようにしているが,数式中に直に書かれた``あ''のベースラインについては
- まだ違いが見られる.
+ \item バージョン20221002.0以降では,
+ \pTeX~4.0.0と同様に数式が\Param{yalbaselineshift}だけシフトされる.
+
+ しかしそれでは数式中に直に書かれた\cs{hbox},~\cs{vbox}中の欧文には
+ \Param{yalbaselineshift}が二重に適用されることになるので,
+ 数式中に直に書かれた\cs{hbox},~\cs{vbox}には
+ \Param{yalbaselineshift}を打ち消す補正をしている.
+
+ なお,\cs{vcenter}によるボックスにはこの「打ち消す補正」は行われないので注意.
+\item \pTeX では数式のスタイルごとに「打ち消す補正」の割合を\cs{textbaselineshiftfactor},
+ \cs{scriptbaselineshiftfactor}, \cs{scriptscriptbaselineshiftfactor}で
+ 指定できるようにしたが,\LuaTeX-jaでは2番の数式ファミリ(\cs{fam2})に使われているフォントの
+ 大きさから自動で計算する.
+
+\item 数式中に直に書かれた和文文字(\autoref{tab:math_bsa}中の``あ'')については
+ \pTeX と\LuaTeX-jaで違いが見られる.
+ \pTeX では,欧文文字と変わらず欧文ベースライン補正(\cs{ybaselineshift})がかかり,
+ また周囲に和欧文間空白(\cs{xkanjiskip})が入りうる.
+ その一方,\LuaTeX-jaでは「和文ベースライン補正(\Param{yjabaselineshift})がかかる」見た目に
+ なり,また周囲に和欧文間空白は入らない.