%</en>
%<*ja>
\paragraph{組方向}
-20150420.0版からは,不安定ながらも\LuaTeX-ja における縦組みをサポートしている.
+バージョン20150420.0からは,不安定ながらも\LuaTeX-ja における縦組みをサポートしている.
なお,\LuaTeX 本体も$\Omega$流の組方向をサポートしているが,それとは全くの別物であること
に注意してほしい.
特に,異なった組方向のボックスを扱う場合には
詳しい説明は\ref{ssec-setrange}節を参照してほしい.
また,\P,~\S といったISO~8859-1の上位領域とJIS~X~0208の共通部分の文字は
- 20150906.0版から標準で欧文扱いとなった.\LaTeXe\ 2017/01/01以降では
+ バージョン20150906.0から標準で欧文扱いとなった.\LaTeXe\ 2017/01/01以降では
標準でTUエンコーディングのLatin Modernフォントが使われるので,
特に何もせずソース中にそのまま記述してもこれらの文字が出力される
\footnote{\LaTeXe\ 2017/01/01より前では,ソース中に直接記述しても
\end{itemize}
%<en>In summary, \LuaTeX-ja version 20160404.0 (or~later) no longer supports \TeX~Live~2015.
%<*ja>
-要約すると,20160404.0版以降の\LuaTeX-jaは\TeX~Live~2015以前では動作しない\footnote{%
+要約すると,バージョン20160404.0以降の\LuaTeX-jaは\TeX~Live~2015以前では動作しない\footnote{%
もっとも,自分で\LuaTeX のバイナリをSubversionリポジトリからビルドしていれば話は別である.
}.
%</ja>
Hence, as previous versions of \LuaTeX-ja, if these characters are treated as
\text{JAchar}s, then \cs{Frowny} produces ``\ltjjachar`§'' (in a Japanese font).
-To avoid such situations, the default setting of \LuaTeX-ja is changed in this release
+To avoid such situations, the default setting of \LuaTeX-ja is changed in version~20150906.0
so that all characters \texttt{U+0080}--\texttt{U+00FF} are treated as \textbf{ALchar}.
If you want to output a character as \textbf{ALchar} and \textbf{JAchar} regardless the range
即ち,以前のバージョンのように,「前節の文字範囲8内の文字は\textbf{JAchar}」という設定で
あったとすると,上記の \cs{Frowny} は和文フォントで「\ltjjachar`§」を出力することになる.
-このような事態を避けるために,本バージョンからは \texttt{U+0080}--\texttt{U+00FF} の範囲の
+このような事態を避けるために,バージョン20150906.0からは \texttt{U+0080}--\texttt{U+00FF} の範囲の
文字は全て\textbf{ALchar}となるように初期設定を変更している.
なお,文字範囲の設定に関わらず1つの文字を\textbf{ALchar}, \textbf{JAchar}で出力したい場合には,
まだ違いが見られる.
\end{itemize}
-なお,20170401.0版以降の\LuaTeX-jaでは,\cs{vcenter} によるボックスには
+なお,バージョン20170401.0以降の\LuaTeX-jaでは,\cs{vcenter} によるボックスには
全体が\Param{yalbaselineshift}, \Param{talbaselineshift} パラメータが反映されるようにしている.
その方が結果が自然であることによる変更なのだが,結果的に\cs{vcenter} については\pTeX と同じ挙動となった.
\label{para-kern}
%<*en>
Some fonts have information for inter-glyph spacing.
-This version of \LuaTeX-ja treats kerning spaces like an italic correction;
+\LuaTeX-ja 20140324.0 or later treats kerning spaces like an italic correction;
any glue and/or kern from the JFM and a kerning space can coexist.
See \autoref{fig:kern-jfm} for detail.
%<*ja>
いくつかのフォントはグリフ間のスペースについての情報を持っている.
このカーニング情報は以前の\LuaTeX-ja とはあまり相性が良くなかったが,
-本バージョンではカーニングによる空白はイタリック補正と同様に扱うことになっている.
+バージョン20140324.0以降ではカーニングによる空白はイタリック補正と同様に扱うことになっている.
つまり,カーニング由来の空白とJFM由来のグルー・カーンは同時に入りうる.
\autoref{fig:kern-jfm}を参照.
\begin{itemize}
\texttt{kanjiskip\_shrink}キー(\pageref{pg:ksp_nat}ページ)の使用によって,
「JFM由来のグルーの他に,\Param{kanjiskip}の自然長/伸び量/縮み量の一部が
同じ場所に挿入される」という状況が起こりうる.
-この機能を無効化し,20150922.0版以前と同じような組版を得るためには
+この機能を無効化し,バージョン20150922.0以前と同じような組版を得るためには
他のOpenType機能と同じように\ \texttt{-ltjksp}\ 指定を行えば良い.
\begin{LTXexample}[width=16\zw]
\leavevmode
\item 間に入るものがカーンであれば,この値は\
\texttt{[$j$]=\{[1]=<kern\_node>, ratio=<ratio>\}} であり,
<kern\_node>はカーンを表すノードそのものである\footnote{%
-本バージョンではノードのアクセス手法にdirect access
+バージョン20150420.0以降ではノードのアクセス手法にdirect access
modelを用いている.そのため,例えば\LuaTeX\ beta-0.78.2では,単なる自然数のようにし
か見えないことに注意.
}.
\begin{description}
\item[\texttt{width}, \texttt{stretch}, \texttt{shrink}]
グルーのそれぞれ自然長,伸び量,縮み量をsp単位で表したもの.
- \item[\texttt{priority}] (バージョン2以降の)JFMでの指定 \texttt{\{<stretch>,<shrink>\}} を
+ \item[\texttt{priority}] バ(ージョン2以降の)JFMでの指定 \texttt{\{<stretch>,<shrink>\}} を
\[
(\text{<stretch>}+4)\cdot 8+\text{<shrink>}+4
\]
%<*en>
An additional attributes which each character whose character code is <chr\_code> has.
-At the present version, the lowermost bit of <natural number> indicates
+At version~20120506.0 or later, the lowermost bit of <natural number> indicates
whether the character is considered as a punctuation mark
(see the description of \Param{jcharwidowpenalty} above).
%</en>
%<*ja>
文字コードが<chr\_code>の文字が持つ付加的な属性値.
-現在のバージョンでは,<natural number>の最下位ビットが,その文字が句読点と
+バージョン20120506.0以降では,<natural number>の最下位ビットが,その文字が句読点と
みなされるかどうかを表している(上の\Param{jcharwidowpenalty}の記述を参照).
%</ja>
この文字の後ろに入るグルー等の処理については未定義である
\footnote{%
この命令と同等の内容は,\cs{dirrctlua}の形で\Pkg{ltjsclasses}内で以前から使われていた.
- 一般ユーザでも利用しやすくするため,20170505.0版では新たに命令として定義した.
+ 一般ユーザでも利用しやすくするため,バージョン20170505.0で新たに命令として定義した.
}.
\item \cs{ltjfakeboxbdd}は,実行された箇所が「ボックスの先頭と末尾」であると\LuaTeX-jaの
和文処理グルー挿入処理に認識させる.
「漢」の寸法を元に(本節の最初に述べた,小文字で始まる)\cs{cht}, \cs{cwd}
といった長さ変数を設定する.
-なお,\LaTeX が2015/10/01 版以降の場合は,「あ」「漢」の代わりに
+なお,\LaTeX が2015/10/01版以降の場合は,「あ」「漢」の代わりに
「文字クラス0の和文文字」を用いる.
%</ja>
\texttt{<z>}\ の他に\ \texttt{<d>}(dtou方向),\texttt{<u>}(utod方向)を追加した.
\texttt{<z>} と \texttt{<u>} の違いは,\texttt{<z>} が(\Pkg{plext} パッケージと同様に)
周囲の組方向が縦組のときにしか意味を持たない
- のに対し,\texttt{<u>} にはそのような制限がないことである.
-
- \item \Pkg{plext} パッケージでは,表組(\texttt{tabular} 環境,\texttt{align} 環境等)や
-\texttt{minipage} 環境,\cs{parbox} 命令において,
-垂直位置指定 \texttt{[t]},~\texttt{[b]} の挙動が非読み込み時と微妙に変わることがあった.
-
-\Pkg{lltjext} パッケージでは,垂直位置指定が\LaTeXe と同様の挙動(以下に示す)に
-なるように修正した.
-\begin{itemize}
- \item \texttt{[t]} オプション指定時は,ボックスのベースラインが中身の1行目のベースライン
- (1行目の上に罫線などが来た時は,ボックスの上端)に一致するように配置する.
- \item \texttt{[b]} オプション指定時は,ボックスのベースラインが中身の最終行のベースライン
- (中身の最後が罫線などの時は,ボックスの下端)に一致するように配置する.
- \item それ以外のときは,ボックスの中央が「数式の軸」に一致するように配置する.
-\end{itemize}
-
+ \footnote{%
+ 周囲の組方向が縦組以外のときは,\texttt{<z>} を指定しても中身の組方向は周囲の組方向と変わらない.
+ }%
+のに対し,\texttt{<u>} にはそのような制限がないことである.
\item 連数字用命令 \cs{rensuji} における位置合わせオプション \texttt{[l]}, \texttt{[c]},
\texttt{[r]} の挙動を若干変更した.
-
\end{itemize}
}
+
%</ja>
%<*en>
\subsection{\texttt{lltjext.sty}}
その際,中身は<pos>の値に従い,左寄せ(\texttt{l}),右揃え(\texttt{r}),
中央揃え(それ以外)される.
\item[picture環境]
-図表作成に用いる \texttt{picture} 環境も,
+図表作成に用いる\texttt{picture}環境も,
\begin{lstlisting}
\begin{picture}<dir>(x_size, y_size)(x_offset,y_offset)
...
\item[u] \emph{utod} direction
\end{description}
\item[\cs{parbox}\<<dir>\>{[<pos>]}\{<width>\}\{<contents>\}]
-\cs{parbox} command is also extended by \texttt{\<dir\>}.
+\cs{parbox} command is also extended by \texttt{\<<dir>\>}.
\item[\cs{pbox}\<<dir>\>{[<width>][<pos>]}\{<contents>\}]
This commands typeset <contents> in LR-mode, in <dir> direction.
If <width> is positive, the width of the box becomes this <width>.
-In this case, <contents> will be aligned \dots
-
+In this case, <contents> will be aligned to left (when <pos> is \texttt{l}),
+center (\texttt{c}), or~right (\texttt{r}).
+
\item[picture\textrm{\ environment}]
+\texttt{picture} environment also extended by \texttt{\<<dir>\>}, as follows:
+\begin{lstlisting}
+\begin{picture}<dir>(x_size, y_size)(x_offset,y_offset)
+ ...
+\end{picture}
+\end{lstlisting}
\item[\cs{rensuji}{[<pos>]}\{<contents>\}\textrm{, }\cs{rensujiskip}]
\end{cslist}
%</en>
+%<*ja>
+\paragraph{表組他の揃え位置}
+表組(\texttt{array}, \texttt{tabular}環境),\cs{parbox}命令,\cs{minipage}環境の
+揃え位置については\autoref{tab:lltjext_dir}を参照.\pLaTeX~2017-07-29と
+できるだけ同じ挙動になるようにしている.\autoref{tab:lltjext_dir}中のA--Dの意味は次の通り.
+
+\begin{table}
+ \caption{\Pkg{lltjext}パッケージにおける表組・\cs{parbox}命令他の揃え位置}
+ \label{tab:lltjext_dir}
+ {\centering
+ \begin{tabular}{lcccc}
+ \toprule
+ ↓中身\周囲→&\cs{yoko}&\cs{tate}&\cs{utod}&\cs{dtou}\\
+ \midrule
+ \cs{yoko}&A&B&B&B\\
+ \cs{tate}&B&A&D&C\\
+ \cs{utod}&B&D&A&C\\
+ \cs{dtou}&B&C&C&A\\
+ \bottomrule
+ \end{tabular}\par}
+\end{table}
+\begin{description}
+ \item[A] 周囲の組方向と中身の組方向が同じ場合.
+ \begin{itemize}
+ \item \texttt{[t]}指定のとき:
+ 中身の先頭行のベースラインが周囲のベースラインと一致する.
+ 表組で先頭行の上に罫線があった場合は,それがベースラインの位置
+ \footnote{\LuaTeX-jaでは和文側のベースラインの位置も上下移動できることに注意.
+ そのため「和文ベースライン」の位置に来るとは限らない.}となる.
+ \item \texttt{[c]}指定のとき:
+ 中身の上下の中心が周囲の数式の軸を通る.
+ \item \texttt{[b]}指定のとき:
+ 中身の最終行のベースラインが周囲のベースラインと一致する.
+ 表組で最終行の下に罫線があった場合は,それがベースラインの位置となる.
+ \end{itemize}
+ \item[B] 周囲の組方向と中身の組方向が90度ずれている場合.
+ \begin{itemize}
+ \item \texttt{[t]}指定のとき:
+ 表組においては,上端が周囲のベースラインと一致する.
+ \cs{parbox}や\cs{minipage}環境においては,上端が周囲の和文文字の上端と一致する.
+ \item \texttt{[c]}指定のとき:
+ 中身の上下の中心が周囲の数式の軸を通る.
+ \item \texttt{[b]}指定のとき:
+ 表組においては,下端が周囲のベースラインと一致する.
+ \cs{parbox}や\cs{minipage}環境においては,下端が周囲の和文文字の下端と一致する.
+ \end{itemize}
+ \item[C] 周囲の組方向と中身の組方向が180度ずれている場合.
+ \cs{parbox}や\cs{minipage}環境においては,上のBの場合と同じ挙動である.表組においては,
+ Aで\texttt{[t]}と\texttt{[b]}を入れ替えた
+ \begin{itemize}
+ \item \texttt{[t]}指定のとき:
+ 中身の最終行のベースラインが周囲のベースラインと一致する.
+ 最終行の下に罫線があった場合は,それがベースラインの位置となる.
+ \item \texttt{[c]}指定のとき:
+ 中身の上下の中心が周囲の数式の軸を通る.
+ \item \texttt{[b]}指定のとき:
+ 中身の先頭行のベースラインが周囲のベースラインと一致する.
+ 表組で先頭行の上に罫線があった場合は,それがベースラインの位置となる.
+ \end{itemize}
+ \item[D] 通常の縦組(\cs{tate})と「縦数式ディレクション」に相当する\cs{utod}方向が絡んだ場合.
+ \cs{parbox}や\cs{minipage}環境においては,上のBの場合と同じ挙動である.表組においては,
+ \begin{itemize}
+ \item \texttt{[t]}指定のとき:
+ 中身の先頭行の欧文ベースラインが周囲の欧文ベースラインと一致する.
+ \item \texttt{[c]}指定のとき:
+ 中身の上下の中心が周囲の数式の軸を通る.
+ \item \texttt{[b]}指定のとき:
+ 中身の最終行の欧文ベースラインが周囲の欧文ベースラインと一致する.
+ \end{itemize}
+\end{description}
+%</ja>
+\clearpage
%<en>\part{Implementations}
%<ja>\part{実装}
\label{part-imp}
%</en>
%<*ja>
「段落の開始」を意味するノード.
-list環境,itemize環境などにおいて,\cs{item} で始まる各項目は……
+\texttt{list}環境,\texttt{itemize}環境などにおいて,\cs{item} で始まる各項目は……
%</ja>
\item[\textit{direction}]