+ \item[段階的な行送り調整]
+ 既に述べたように,
+ 「通常に組んだときの行間」$d$が\cs{lineskiplimit}より小さい場合,\TeX 標準では
+ 行間は\cs{lineskip}となるのだった.
+ このとき行送りは「前の行の深さ」,「次の行の高さ」,\cs{lineskip}の3つの和になるわけだが,
+ 場合によっては行送りを「\cs{baselineskip}の整数倍」などと切りのいい値に揃えたいという状況が
+ 考えられなくもない.
+
+ \Pkg{luatexja-adjust}パッケージでは,{\catcode`\<=12$d<\cs{lineskiplimit}$}のときに
+ 行送りを\cs{baselineskip}の\Param{linestep\_factor}倍ずつ増減させて
+ \begin{quote}
+ 行間が\cs{lineskip}以上となるような,
+ 最小の$(1+k\cdot \Param{linestep\_factor})\cs{baselineskip}$($k$は整数)の値
+ \end{quote}
+ とする機能を利用できるようにした.
+ \autoref{fig:linegap2}の(a)がこの機能を無効にした状況で,(b),~(c),~(d)が
+ それぞれ\Param{linestep\_factor}を0.25,~0.5,~1とした状況である.
+
+ なお,この機能は表組時(\cs{halign},~\cs{valign})には無効である.
+ \LaTeX における表組環境(tabular, arrayなど)では,\cs{baselineskip},~\cs{lineskip}はどちらも0に設定されているので
+ (代わりに各行に\cs{@arstrut}という支柱が入る)ために意味がないことと,
+ 数式を内部で表組を使って組むalign環境などではかえって行間が不揃いになってしまうからである.